金利決定の仕組み
金利決定の仕組みは単純です
金利決定の仕組みは単純です。需要と供給の関係です。
顧問先様から、「現在リスケ中だが、金利の支払いが厳しいので、金利を引き下げたいが良い方法はないか?」とのご相談を受けることがあります。もちろん、業績の良し悪しに関係なく、誰もが金利を引き下げる方法について興味があるのではないでしょうか?
金利決定の仕組みは単純です。ある企業に対して、貸したいと思う銀行が多ければ金利競争が発生して金利は低くなりますし、反対に貸したいと思う銀行が少なければ金利競争は発生しませんので金利は高止まりします。
また、銀行は融資先を財務内容によってランク付をし、ランク毎に目安となる金利を設定しています。財務内容が良い企業は金利が安く、悪い企業は金利が高くなるよう、行内のルールで事前に金利が決められています。よって、金利交渉の余地はあまりありません。
皆様にも経験があるかもしれませんが、例えば2.5%の金利で7,000万円の手形割引を行っている銀行が、自ら、手形割引の代わりに使って欲しいといって、1%弱の金利で長期融資を提案してくることがあります。金額にして年間100万円以上の金利減となります。
このような背景には、第一に会社の業績が良くなったこと、それから複数行との融資取引を開始したことが挙げられます。まずは、業績が良くなければ、銀行は魅力を感じません。次にライバルとなる銀行の有無です。1行取引では競争原理は働きませんので、複数行と融資取引を行い、お互いが切磋琢磨してもらえる環境を作り出すことにより、銀行が進んで低い金利を提示してくれるようになります。
では最初の相談に戻り、現在リスケ中の企業が金利を引き下げることは可能でしょうか?
お分かりのとおりほぼ不可能です。リスケを受け入れている銀行は、これ以上融資をしたいと考えてはいません。むしろ、早く融資を回収したいと考えています。
金利を下げる動機、必然性がありませんので、基本的には難しいと考えるべきです。
セーフティネットとの関係
金利は財務内容に連動しますが、「業績が悪化した際に利用できるセーフティネットの金利は低いではないか。」と思う方もいらっしゃると思います。これは同じ銀行が提案に来るため紛らわしいのですが、セーフティネットは国の政策であり、民間金融機関が営利目的で行う融資とは根本的に違います。営利団体である民間金融機関が、救済目的で低い金利を提案することは、預金者や株主の手前、ありえません。
これから・・・
金利は貸し手の条件であり、借り手の条件ではありません。貸し手の間で競争が起きなければ金利は下がりませんので、まずは貸し手にとって魅力のある財務内容を目指し、かつ複数行との融資取引を目指しましょう。