相続税の配偶者控除
相続税の配偶者控除とは?
ご存じの方も多いと思いますが、被相続人の配偶者には「相続税の配偶者控除(正しくは「配偶者の税額の軽減」といいます。)」により、基本的に相続税はかかりません。
<相続税の配偶者控除>
被相続人の配偶者が相続した財産の総額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかかりません。
1. 1億6千万円
2. 配偶者の法定相続分相当額
適用に当たって
今回の相続だけを考えれば配偶者ができるだけ多くの財産を相続したほうが相続税は少なくなりますが、その配偶者の相続税も考慮する必要があります。
例えば、夫(財産1億円)、妻(財産2,500万円)、子1人の場合、夫の相続(一次相続)、妻の相続(二次相続)の相続税は以下の通りです。
一次相続での | 相続税 | ||
一次相続 | 二次相続 | 合計 | |
妻100%、子0% | 0万円 | 1,970万円 | 1,970万円 |
妻75%、子25% | 193万円 | 1,220万円 | 1,413万円 |
妻50%、子50% | 385万円 | 580万円 | 965万円 |
妻25%、子75% | 578万円 | 160万円 | 738万円 |
妻0%、子100% | 770万円 | 0万円 | 770万円 |
この場合は一次相続で、妻25%、子75%に分けるのが、もっとも相続税を少なくすることができます。
気をつけること
税額だけを考えると上記のとおりです。
ですが、相続で気を付けるべきなのは、むしろ税金以外なのかもしれません。(もちろん税金も大事ですが。)
例えば、配偶者のいる場合の相続では、「配偶者の住居」が大事です。
被相続人の自宅を子が相続し、配偶者がそのまま自宅へ住むこととなった場合、配偶者は子に嫌われると追い出されてしまいますから、常に気を遣うことになってしまい、大変です。
その点を配慮する必要があります。
また、配偶者の「生活費」も大事です。配偶者自身の財産で生活できるのならば問題ありませんが、できなければ相続財産にて生活ができるように配慮しなくてはなりません。
また、子が若い場合、子があまりにも多額の財産を相続してしまうと、その後の人生がおかしくなってしまう可能性もあります。
相続は税金ももちろんですが、税金以外にもいろいろ検討することがあり、複雑です・・・。